アカデミアとの共同研究

シンバイオ製薬では、大手製薬会社のような研究所を持たない代わりに、世界中の優れたアカデミアと積極的な連携を図り、共同研究を推進しています。これは、研究設備や研究員などの固定費負担を軽減できるだけではなく、アカデミアの最先端の研究にいち早くアプローチし、既存製品の新規治療領域開発や新規適応症の探索、また新規パイプラインの探索・導入等を継続的にグローバルで取り組むことによって、「空白の治療領域」に一日でも早く新薬をお届けすることを目指しています。

海 外

○ウイルス感染症領域

ペンシルベニア州立大学(米国)

ポリオーマウイルス、特にJCウイルスは、dsDNAウイルスの中でも、その感染によって脳に重篤な疾患を引き起こすことが知られており、既存の抗ウイルス薬ではほとんど効果が見られないため、有効な治療薬の開発が待ち望まれています。2022年11月に米国ペンシルベニア州立大学医学部との間で試料提供契約(MTA:Material Transfer Agreement)を締結し、ポリオーマウイルス感染マウスモデルにおけるBCV(ブリンシドフォビル、SyB V-1901)の抗ウイルス活性を検証する非臨床試験を実施しました。その研究成果として、2024年7月に、BCVの有用性に関する成績が mBio 誌に公表されました。

○血液がん・固形がん領域

シンガポール国立がんセンター(シンガポール)

EBウイルス陽性リンパ腫に対するBCVの抗腫瘍効果とその機序の探索に関して、2022年から共同研究を開始しました。各種悪性リンパ腫に対するBCVの有用性に関する共同研究成果が、2024年までの間に計5回、国際学会で発表されました。

米国国立衛生研究所国立アレルギー・感染症研究所(NIH/NIAID)(米国)

EBウイルス関連疾患に関する共同研究開発契約(CRADA)を締結しました。細胞および動物モデルにおいてEBウイルス感染および関連疾患を反映できるトランスレーショナル・プラットフォーム(臨床への橋渡し研究基盤)を用いて、BCVのEBウイルス疾患に対する標的治療としての可能性を評価しています。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校(米国)

脳腫瘍に対するBCVの抗腫瘍効果を検討する非臨床試験を実施しています。これまでに、各種の膠芽腫モデルを用いた試験においてBCVの有用性が示されるとともに、標準治療との併用効果も確認され、得られた成績の一部はAACR2024において発表されました。

グスタフルーシーがん研究所(フランス)

複数の固形がんに対するBCVの抗腫瘍効果を検討する非臨床試験を実施しています。既存の治療法では十分な効果が得られなかった腫瘍に対する新たな治療モダリティとなる可能性を追求しています。

○脳神経変性疾患領域

米国国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)(米国)

EBウイルスが関連する難病「多発性硬化症(MS)」において、EBウイルスへの効果を介したBCVの有用性を検討するため、2023年3月に共同研究開発契約(CRADA)を締結しました。2023年10月には欧州多発性硬化症学会にて初期研究成果を発表しました。現在は、非ヒト霊長類を用いた実験が進行中であり、今後の臨床試験に向けたデータ取得を進めています。

タフツ大学(米国)

アルツハイマー型認知症(AD)を含む脳神経疾患において、潜伏感染している水痘帯状疱疹ウイルスや単純ヘルペスウイルスの再活性化による関与が注目されています。2022年12月に委託研究契約(Sponsored Research Agreement)を締結し、タフツ大学が確立したヒト神経幹細胞から構成される脳組織の三次元的模倣モデルにおいて、単純ヘルペスウイルス感染・再活性化によるAD様変化に対するBCVの効果を検証しています。

国 内

東京大学

同大学に設置した社会連携講座「分子腫瘍薬学」において、BCVの新たな有用性を追求するとともに、分子生物学的手法を駆使してBCV作用に関与する遺伝子の探索を行っています。また、BCVの抗腫瘍効果と安全性の分子機序を解明する研究プラットフォームを用いて、既存薬とは異なるBCVの特長付けを行っています。