1.グローバル開発戦略の核となる新薬候補との出会い

この薬には可能性がある

シンバイオ製薬は、2018年にグローバルネットワークを通じて、米国バイオ医薬品企業キメリックス社が開発中の抗ウイルス薬「ブリンシドホビル」に関する情報を得ました。この薬は、造血幹細胞移植後のウイルス感染症治療薬として開発が進められていましたが、経口剤(内服薬)としての臨床試験で副作用が発生し、開発が中断されていました。しかし、シンバイオ製薬は以下の3つの理由から、この薬に大きな可能性があると考え、導入を視野に入れた社内評価を開始しました。

決断の理由

導入の決断に至った理由の第一は、この薬が既存の抗ウイルス薬に比べて優れた安全性と幅広い抗ウイルス活性を持ち、開発成功の可能性が高いと判断されたことです。
第二は、対象疾患の多くが「空白の治療領域」であり、シンバイオ製薬の医薬品開発方針と合致していたことです。さらに、造血幹細胞移植の領域は、当社が開発・販売する「トレアキシン®」と関連性が高く、事業面でのシナジー効果も見込まれました。
そして第三は、経口剤で問題となった胃腸障害が、静脈に注射する製剤に変更することで回避できると考えられた点です。

専門家の高評価

シンバイオ製薬は、国内外の臨床医学および基礎医学の専門家で構成される科学的諮問委員会(SAB)で、新薬候補について広く議論・評価しています。そのSABにおいて、ブリンシドホビルは「ぜひ導入すべき」と高く評価され、開発が推奨されました。これによって薬の可能性への確信が強まり、本格的な検討が開始されました。

ターゲットは全世界、そして多疾患領域

導入に向けた厳密な調査と検討を経て、吉田当社社長が開発および法務責任者を伴って渡米し、開発元のキメリックス社と話し合いを重ねました。その結果、2019年9月30日に製造・開発・販売に関するグローバルライセンス契約が締結されました。これにより、シンバイオ製薬はブリンシドホビルのあらゆる疾患(天然痘を除く)に関する全世界での開発・製造・販売の権利を取得することができました。
ブリンシドホビルの潜在的可能性を見出し、導入に踏み切ることができたのは、「空白の治療領域」という課題に挑むシンバイオ製薬の企業理念があったからにほかなりません。多様な疾患への治療薬として大きな可能性を秘めたこの画期的新薬によって、シンバイオ製薬はグローバル・スペシャリティファーマへの重要な一歩を記すこととなりました。