CSRの取り組み
社長対談

第8回

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「オープン・イノベーション」と「ステークホルダー・エンゲージメント」
谷本
時間はもちろんかかると思います。リターンがいらない投資家はありえないわけですが、これはおもしろい会社だと飛びつく人はいるはずです。
ただ、シンバイオ製薬さんの場合は、投資家に対して、よりていねいに会社のミッションを説明し、意義を伝えていって、少しずつ理解を高めてもらうことが大切かと思います。目に見える成果が出るまでに5年とか10年かかるという話だけではなく、それに見合うリターンはどれほどか、この会社は何をしようとしているのか、その意義は何かということを、もちろんこれまでもされているでしょうが、わかりやすくステークホルダーに説明し、理解を得る努力をすれば、それに応じて企業価値は高まると思います。
中心にいる患者さんも含めて、投資家、アナリスト、ファンドマネジャー、金融機関、一般の人たち、誰もが空白の治療領域に投げ込まれる可能性があるわけで、それに対してシンバイオ製薬が何をしようとしているのかを、ていねいに情報を伝えながら理解を得ることが重要です。
吉田
おっしゃるとおりだと思います。
谷本
シンバイオ製薬が何をしようとしているのかと同時に、それをどのように実現しようとしているのかという説明も大切です。
10年以上前から「オープン・イノベーション」ということが言われています。ネットの世界から始まったことですが、自社技術だけでなく他社が持つ技術やアイデアを組み合わせて、革新的なビジネスモデルや製品を生み出そうという考え方です。逆に自社の研究開発力だけで完結しようとすることを「クローズド・イノベーション」といいます。
オープン・イノベーションでは、メーカーだけでなくユーザーもアイデアを出して一緒に作っていくようなところがあります。
吉田
まさに私どもの事業モデルそのものがオープン・イノベーションで成り立っています。
谷本
そのことを、病院、医師はもちろん、行政も、取り引き先や、パートナーも含めて、多様なステークホルダーの理解を高めていく必要があります。投資家さえ理解してもらえばいいとういうことではありません。
「ステークホルダー・エンゲージメント」という言い方もしますが、エンゲージメントのやりようとかステージは、相手によって違います。投資家、株主層には事業見通しをていねいに話をしていく、患者さんに対してもその薬の意味を伝える、パートナーの理解も促す。そのようにして、共通の理解を少しずつ上げていくことです。
吉田
われわれもできるだけ早く黒字化していくということが、投資家に対する当然の責任としてあります。また、会社としての企業使命を突き詰めていくと、一つでも多くの新薬を開発して1日でも早く患者さんのために提供していくということになると、開発投資が膨らんでいきます。その中で、中長期計画をにらみながらどこで線を引くかが難しいところです。
投資家の時間軸があって、私どもの事業の時間軸があり、その二つの時間軸が異なるわけです。投資家の時間軸に合わせていくことも、もちろん必要ですが、そこを意識しすぎると、例えばあと二つ新薬を導入することができても、一つにしておこうと話になってきます。
私どもとしては、困っている患者さんのために一つでも多くの新薬をどんどん開発を進めていきたい。しかし、資金提供してくださるのは投資家の皆さんです。事業としての採算をとり事業価値を上げ、株価を上げていかないと、資金調達もできないということの板挟みで常に悩んでいます。
谷本
日本初の本格的なスペシャリティ・ファーマの経営者として、手腕の問われるところですね。