CSRの取り組み
社長対談

第6回

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MDSへの理解と支援の輪を広げるために
吉田
今後、連絡会として取り組んでいきたい課題はありますか。
星崎
いまわれわれが懸念していることの一つは、連絡会顧問の埼玉医科大学の木崎先生もおっしゃっていることですが、高齢者で、本人も周りの人もMDSだと気づいていない方がけっこういるのではないかということです。
血液のがんとか白血病であれば大変だということになりますが、貧血の症状だけでは重篤な病気だと思わない人が多い。それならまだしも、鉄欠乏の貧血でないのに鉄分の多い食事をとったり、サプリメントを使ったりといった間違った対応をしているケースも少なからずあるようです。そういう潜在する隠れ患者の人たちに、MDSという病気があることを知らせ、啓蒙することも必要だと考えています。
吉田
どのような啓蒙活動をされているのですか。
星崎
われわれのフォーラムなどを通じて知らせる程度のことしかできていないのが現状です。高齢の方はインターネット環境にないことが多く、若いご家族が同居されていれば代わりにインターネットで調べるということもあるでしょうが、高齢のご夫婦だけだと情報伝達には限度があります。
吉田
いろいろな機会を捕らえて知らせていく必要がありそうですね。
星崎
MDS連絡会として、これからはMDSという病気が広く世の中の人に理解されるよう働きかけていく段階だと考えています。たくさんの隠れ患者が間違いなく存在し、気づかずに日々過ごしていると考えられますが、この病気も早期発見・早期治療が大切です。医師たちは、いよいよ白血病になるという一歩手前で来られても有効な治療法は少ないと言います。残念ながら移植をしようにも年齢的に無理で、手がつけようのない状態で来院される患者さんも少なからずいるということです。MDSという病気があることが分かっていれば、日常生活でちょっとつらい貧血を自覚した人は、もっと早く血液内科の診察を受けることができるだろうと思います。
MDSは高齢者に多い病気なので、どうしても周りの人に気を遣って黙っていたり、自分が我慢すればいいということで日々過ごしていたりする方が多いのではないかと心配しています。これが重篤な病気であることは間違いないので、貧血を伴う症状がある方はMDSの可能性があると知ってもらえるようにしたいと思います。
吉田
MDS連絡会の活動も、内部だけではなく、広く外部にも目を向けているわけですね。
星崎
もう一つ、最近気になっているのは小児についてです。小児の場合は成人と病態も異なるし、治療法もまったく違います。MDSを担当している血液内科の先生によれば、小児のMDSは別の病気ととらえたほうがいいということです。しかし、小児のMDSを専門とされる血液内科の先生は多くありません。
連絡会でときどき相談を受けるのは、MDSを告知された中学生や高校生が、若いので移植したほうがいいだろうと医師には言われるのですが、タイミングをいつにすればいいかということです。若いほど治癒率は高く、基本的には移植すればまずは助かると言われています。でも移植となるとリスクがありますから、親御さんは心配するわけです。そのへんの問題も、まだこれからというところです。
吉田
移植ができるのは何歳くらいまでですか。
星崎
移植に対して積極的な病院と慎重な病院とがありますが、平均の発症年齢が65歳前後ですから、MDSと診断された年齢で、もう移植は無理だと言われることが多いようです。しかし、ある病院の先生は72歳の人まで手がけたということです。本人が希望して体力的に大丈夫だということであれば、年齢ではなく、本人の体力を目安にすればいいということのようです。
吉田
個人差があるのですね。
星崎
欧米では、年齢も一つの目安ですが、病態とか体力を判断して、本人や家族が希望すれば70でも75でも移植をするケースが増えているようです。おそらく日本でもそうなっていくのではないでしょうか。
吉田
安全で有効な薬が出てくると患者さんの生存期間が伸びますし、さらに見過ごされていた患者さんが顕在化すると、患者さんの数が全体として増えていきます。そのようにして社会的な存在感が出てくると、MDSという疾患の概念が明確になり、さらにいい治療法が開発されるというポジティブな循環効果も出てくると思います。
星崎
私たちはこの会を立ち上げたとき、あえて"連絡会"という名称にこだわりました。それは、単に患者さんやその家族が集る会ではなく、医療関係者や製薬会社など、多くの方々とのネットワークを構築し、連絡を取り合ってMDSへの理解と支援の輪を広げ、共に手を携えて、「この病気を何としても薬で治せるようにしたい」「いつの日かMDSの治療法から骨髄移植を除外したい」という切なる願いがあったからです。
その日が必ず実現することを信じて、1歩1歩、歩みを進めていこうと思っています。
吉田
是非ともご努力が報われることを祈っています。私どもも微力ながら、お役に立てるよう社を挙げて頑張りたいと思います。
患者さんの声を聞くことができ、また、大変参考になる、いいお話を伺うことができました。ありがとうございました。