CSRの取り組み
社長対談

第5回

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新しい治療法に希望を託して
吉田
赤芽球癆はMDSとは違う病気なのですか。
星崎
MDSと赤芽球癆の違いを先生に聞くと、「血液のがんか、そうではないかだろう」ということでした。つまり、MDSは血液のがんと位置づけられることが多く、赤芽球癆は骨髄機能の低下による再生不良性貧血に近いので、血液のがんではないということです。私の場合は、おそらく赤芽球癆でMDSではないと主治医は言っています。その点は安心ですが、それではMDSや白血病にはならないかというと、その保証はないようです。もっとも、MDSから白血病になるより、骨髄機能の不全で感染症になることのほうが多いようです。
吉田
MDSと言っても、いろいろなケースがあるのですね。
星崎
MDSは「症候群」です。いろいろなタイプがあり、すべてのMDS患者に効く特効薬はありません。
吉田
最近、MDSが遺伝子系で区分されるようになっているようですね。
星崎
薬の観点から言うと、2011年に承認されたDNAメチル化阻害剤が効くMDS、御社が試験を進めている抗がん剤が効くMDS、あるいは私のように免疫抑制剤が効くMDS、中にはタンパク同化ホルモンのようなものが効くMDS、ビタミン剤が効くMDSなどと分かれています。比較的予後のいい「5q-症候群」(5番染色体に異常のあるMDS)というのがあるのですが、これは難治性ではないのでMDSから外そうという議論もあるようです。
吉田
遺伝子レベルの研究が進んでいくと、今までMDSとして一緒にされていたものが細分化していくのでしょうね。
星崎
遺伝子の研究は非常に希望が持てます。
骨髄移植のドナーとのマッチングについて、最近では白血球の型(HLA;ヒト白血球抗原)だけでなく赤血球の型も一致しているほうが成績がよいとの報告もあります。今でも血縁ドナーで年齢も若く体調がよければ7、8割の成功率ですが、これが検索・分析の技術が向上してマッチングの精度が高くなり、9割を超えるようになると、移植したいと手を挙げる人が多くなりそうです。そうなれば、私も手を挙げたい。治って、もう一度スキーをしたい、テニスをしたい、野球をしたいと思います。
吉田
星崎さんはスポーツをされていたのですか。
星崎
中学・高校と陸上競技をしていました。もともとは野球をしたくて、子ども心に足を速くして高校野球でがんばろうと思っていました。しかし高校の顧問の先生に、お前は下半身がしっかりしているから投擲をやれと言われ、途中からハンマー投げに変わりました。今でこそオリンピックに出た室伏選手が有名ですが、当時は競技人口の少ない種目だったので、オリンピックは無理だとしても、それなりにいいとこまで行けるだろう言われてがんばった結果、運よくインターハイに出ることができました。
吉田
それではなおさら、治ってスポーツをしたいでしょうね。
星崎
患者は誰でもそうでしょうが、やはり治りたい。しかし当時は、治すには移植しかなく、何割かは白血病に移行するのに、有効な治療薬がないという状況でした。DNAメチル化阻害剤も、まだ承認されていませんでした。
私の趣味は運動するくらいしかないので、完全治癒を目指して移植を希望したのですが、死ぬリスクを犯してまで移植をするほど悪くはないと言われました。セカンドオピニオンもお願いしましたが、やはり同じ見立てでした。赤芽球癆に詳しい先生にお会いする機会があったのでお伺いしたところ、今の数値を維持できれば免疫抑制剤が効いていると判断できるので、急激に検査値が下がるようなことがない限り、今の治療を続けて問題ないと言われました。
吉田
星崎さんの場合は、あせらずに新しい治療法が出るのをお待ちになったほうがいいのでしょうね。