CSRの取り組み
社長対談

第3回

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日本のベンチャーが世界の機関投資家に評価されるのは珍しい
吉田
当社の株式公募のときに15%が機関投資家で、その半数以上が欧州の機関投資家で、その他では、アジア系のヘッジファンドも入っていました。ある投資会社のパートナーの方が、シンバイオ製薬のような日本のベンチャーで、機関投資家がそれだけ持つことは珍しいと言っていました。
松田
珍しいことです。
吉田
見ているところは見ているのですね。私たちの事業モデルに対する評価があったということかと思います。
松田
シンバイオ製薬の場合、学会などで開発中の新薬の効果がしっかり発表されているので、それでわかって買ったということなのでしょうか。
吉田
欧米のファンド・マネジャーは専門性が高く、バイオの分野に特化しており、新薬の開発についてもかなり詳しい人が多いのです。
先日のサンディエゴの米国血液学会でも、そういう方とお会いしました。アメリカのヘッジファンドの方ですが、医師(M.D)とPh.D.を持っていて、この疾患領域では私どもの開発中の新薬が他の薬とどう違うのかを理解されており、日本においての試験結果の話についても、有効性、副作用等の臨床試験の結果の話になったりして、どんどん深い所に入って行きます。
松田
日本でも2000年ころ、プロフェッショナルな分野に特化した専門家が育ちつつあると理解したことがありましたが、マーケットの状況が変わって続きませんでした。
吉田
いま、正確なところは分かりませんが、全世界に約3400~3500社のバイオベンチャーがあり、この3400~3500社がバイオインダストリーを構成するわけですが、その中で製品の売上があって経常利益を上げている会社は僅か2%の70社あたりです。この数字は、バイオ事業において利益を出すことがいかに難しいかということを物語っています。
日本には、以前、大学発のベンチャーを含めて一時は500社あったといわれていますが、いまは300社もないでしょう。上場企業が、そのうちの二十数社ほどです。
当社は製品売上が上がって黒字に向かって動いていますから、トップの2%に入る距離としては一番近いところにいると思います。それを日本の投資家に評価してほしいと思います。
松田
いま、日本の企業年金が二百数十兆円あるわけですが、その運用責任者がどこまで先端技術分野を理解して運用しているのか。かつて経理課長とか部長だった方が責任者ということもありますが、経理とファイナンスは違います。さらに、自己責任において運用をするという判断を、日本ではほとんどさせない仕組みが出来ていたり、海外に全部運用を投げてしまうこともあります。その結果、リーマンショックの影響を簡単に受けたりするわけです。ファンド自身がプロで運営されるのではなく、依存型できていおり、護送船団方式の典型だと思います。プロが育たなかった現象が、この分野に極端に出ています。