CSRの取り組み
社長対談

第3回

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松田
1980年代、日本がバブルで大変な収益を上げているころ、アメリカで活躍している日本のトップ企業の95%くらいが決算書から見ると赤字でした。しかし当時、日本の投資が営業活動のキャッシュフローの3倍もあったにもかかわらず、ファイナンスがついていました。市場は、リスクマネーの確保が大事だと考えていたのです。しかも日本国内はバブルですから、国内親会社は赤字になっていません。
ところがいまは、減価償却の範囲内とか、フリーキャッシュフローがプラスにならなければいけないという話です。そのため、先行投資型の企業は市場からあまり評価されません。イノベーションが社会を変えていくとするなら、これではまずいですね。
吉田
欧米では、多くのバイオベンチャーの企業価値の7割から8割がパイプライン・バリュー(開発候補品に対する事業価値)です。開発のパイプラインでどれだけ優れたものを持っているかという質と量が評価対象となります。しかし、日本ではパイプライン・バリューはあまり評価の対象にはならないようで、逆にパイプラインを持っていると、開発費が大変ですねと言われ敬遠されることもあります。
松田
日本でも、過去においてはバイオベンチャーがパイプラインをたくさん並べていましたが、ほとんど製品として市場に出ませんでした。その点、シンバイオ製薬の特色は、5年で上市すると言ってその通りに実現する。その確度の高さが、一昨年承認された新薬で証明されたわけです。
今後とも、パイプラインの長さと、開発ステージのどこまで進んでいるかきっちり開示することで、理解は得られると思います。
吉田
当社の事業モデルは、開発リスクとコストを低減している点が大きいと思います。パイプラインの比較をしていただけばわかりますが、私どものパイプラインはレイトステージ(後期)のものが多いのです。パイプラインの事業価値も、開発の後期になればなるほど価値は上がります。特に当社のパイプラインは後期ステージだけに集中しているので、バリューとしては非常に高いのですが、そこをどう投資家の方々に理解いただくかが課題であると考えています。
松田
企業の場合、これまでのバイオベンチャーの公開の基準と違って、上市後の公開という条件がつきました。第1フェーズ、第2フェーズ、第3フェーズとある中で、多くの会社はまだ第2フェーズまでしか行っていません。そこの見せ方をどうするかでしょうね。
上場というレベルになったとき、新興企業であっても、欧米では機関投資家がある程度評価して、価格が低いときに投資をします。何年か経って企業価値が上がってくると、安全だということで一般投資家が入ってきます。
一方、日本は、個人投資家しか新興マーケットに行かないのが現実です。企業価値の大きさとの関係もありますが、機関投資家、あるいは機関投資家についているアナリストの理解を促す必要があります。
吉田
欧米に比べると残念ながらバイオのアナリストが日本に少ないこともあり、適正な評価が市場に届かないように思います。
松田
その意味でも、時間がかかるかもしれませんね。