CSRの取り組み
社長対談

第1回

  • 印刷用PDFデータ
  • 社長対談のトップへ
世界中の権威が集まって新薬を選別
吉田
欧米で使われている新薬が、
日本の患者さんに使われていないというドラッグラグをなくすための活動を、
患者さんたちも精力的に進めています。
新薬は、日本の患者さんでデータを取らないと承認が得られないため
承認までに時間がかかり、先生方としても自分の患者さんに使えないことに
非常にいらだちを感じておられます。
岸本
早く使いたいという悲願の一方で、
安全に使いたいという願いも切実なので、患者自身も非常に悩むところです。
ドラッグラグが生ずる理由は、安全性の確認のためといわれますが。
吉田
私たちは、欧米ではどういう新薬が開発されていて、患者数が少ないがために
日本に持ってくるには時間がかかるだろうというリストを常に持っています。
その中から、4品目か5品目、日本の医療ニーズに合ったものの
導入に向けて審査をします。そのための組織として、私どもには
SAB(サイエンティフィック・アドバイザー・ボード)というものがあり、
世界中のそれぞれの分野の権威ある先生方が私たちと一緒になって、
新薬を導入するための検討をしています。
SABは年に3回開催されます。先生方の厳しい目で選別され、
医療上必要性が高いにもかかわらず優れた新薬がないので、
ぜひ導入して欲しいという強い声のある新薬のシーズについて、
私たちが権利を取得して、日本で臨床試験をしていくという
プロセスを構築しています。
岸本
それがドラッグラグの解消に、どのようにつながるのですか。
吉田
抗がん剤の場合には、他に標準治療のないがん患者さんに対して、
安全性を中心に調べる第Ⅰ相臨床試験をします。
次に、日本人の患者さんに対して適切な用量を決めるための用量設定という
第Ⅱ相臨床試験が求められます。
そこで、投与の仕方、回数、期間、投与間隔など、最も効果的な
投与量を詳細に調べるということで、多くの時間を要します。
場合によっては、他剤と比較してどのような有用性があるのかを
検証する第Ⅲ相臨床試験を求められます。
加えて、法制度的な承認の遅れや保険診療制度の上の問題などがからんで、
新薬承認の遅れを招いています。
それに対して私たちは、欧米ですでにPOC(Proof of concept:概念実証)という、
薬としての有効性と安全性が確立されているものを導入するということをしています。
欧米でPOCが確立していれば、私たちにとって開発のリスクが軽減できるのと同時に
開発期間の短縮にもつながりますので、積極的に権利をとって、
開発に投資することができるのです。
患者数の少ない治療領域は、大手製薬会社はなかなか手をつけないので、
私たちがこの事業を立ち上げたわけです。ありがたいことに、
そのような趣旨に賛同いただいた多くの先生方からも
非常に前向きにご協力いただいていますし、行政も比較的
協力的に応援してくれています。当然、プロセスはしっかり踏まなければなりませんし、
承認までの開発投資も最低でも70億-80億という規模にのぼるので、
その開発資金を市場から調達しなければならないので大変ではありますが。
岸本
ほんとうにそうですね。
吉田
患者さんやご家族、医療従事者の皆さんなどから
求められるものが大きいので、やりがいはあります。