CSRの取り組み
社長対談

第1回

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標準療法が確立されていない空白の治療領域
吉田
薬との出会いは大事ですが、正しく使われなければいけません。
また、医師の判断が大事なのですが、先生によって
だいぶ違うことがあります。使う薬も違うし、診断も違ったりします。
岸本
特に固形がんの場合は、先生によって違うかもしれません。
手術後の補助化学療法ですと、まだ決定的なものはないという状況だと思いますし、
再発後の治療に関しては、標準治療が確立されていないので、
先生方の判断によるところが大きいだろうと思います。
吉田
特に再発難治の患者さんの場合は、初回の患者さんと異なり
標準療法が確立されていないため、どのような治療をするべきか
不透明なところもあり、 “空白の治療領域”が多くあります。
私たちが開発して、今回、承認を取ったトレアキシンは、
空白化された治療領域を埋めるものです。
悪性リンパ腫で初回に使われる代表的な抗がん剤治療法として
R-CHOPがあります。それは、初回の患者さんには
非常に優れた治療方法なのですが、
再発をした患者さんには優れた治療薬がありませんでした。
つまり、そこが空白の治療領域になっていました。
そこで、私たちは再発された患者さんを対象として新薬で臨床試験をしたところ、
非常にいい有効性を示し承認を得ることができました。
それを今度は初回の患者さんに使えるようにしようということで、
臨床試験を開始したところです。
すでに、初回の患者さんの試験はドイツにおいてはなされており、
米国においては進行中です。抗がん剤ですから、
それなりの副作用はあるのですが、そのドイツの試験においては、
脱毛もなく、骨髄抑制がほかの抗がん剤に比べて弱いという結果が得られております。
非ホジキンリンパ腫の中でも、低悪性度と中高悪性度と分かれるのですが、
中高悪性度の方についても強い要望があって、日本において、
現在、試験をしているところです。このように標準療法はあるけれど、
再発をした患者さんに対するいい治療薬がないというケースが多いですね。
岸本
そうですね。私もその後、患者を支援するグループに入って、
大腸がんでも再発後の患者さんとか、
固形がんではない血液やリンパのがんの患者さんと接するようになり、
そこで初めて薬の話を聞くようになりました。
再発後の患者さんは、本当に薬への関心が高く、手術の適応でなくなると、
いろいろな薬を順々に使っていき、だんだん使う薬がなくなりますので、
その時に、いま世界ではどんな薬が使われているのだろうということや、
治験や臨床試験がどこかの病院で行われていないかということが、
皆さんの大きな関心事でした。
吉田
切実なことです。そのようなお話をお伺いすると、
一日でも早く新薬を開発して患者さんに希望をお届したいと思います。
岸本
実際に治験をした友人も二人いて、一人は亡くなりましたが、
一人は4年経ったいまも元気です。亡くなった患者さんも、
あるがん専門病院での臨床試験が終わった後に言っていました。
まだ自分は元気で歩けるし、電車にも乗ることができる、皆と話もできる。
もう治療の手立てがないとか、ターミナルといった実感がまだないから、
ほかに治療法はないのか探したいと。
一生懸命インターネットで調べたり、
誰かが持ってきた新聞の切り抜きを見たりしていました。
新薬の開発への期待を、目の当たりにする思いでした。
吉田
私どもは、そのような期待になんとかお応えしようと、日々、努力しています。
岸本
再発後の患者さんたちがお互いに合言葉のように言っていたのは、
“明日、新しい治療法が出てくるかもしれないから、粘れるだけ粘りましょう。
短気を起こしたり、投げやりになったりしないで、
1日でも長く生きて、新しい治療の恩恵を受けましょう”ということでした。
吉田
私どもも、社内で常に「患者さんは待っている」という掛け声で、
1日でも開発を早く進めることを考えて頑張っております。